FE-SEMによる各種解析事例
分析事例(クリックで各分析事例に移動します)
- FE-SEMによる備長炭の形態観察
- FE-SEMによる金属の破断面観察
- FE-SEMによるTiO2ナノチューブの形態観察
- FE-SEMによる粘着テープの形態観察
- FE-SEMによる金属担持酸化チタンの観察
- FE-SEMによる磁気フィルム表面のSEM観察画像と面分析
FE-SEMによる備長炭の形態観察
FE-SEM(電界放出型走査電子顕微鏡)による拡大観察をおこなうことで表面の形態がわかります。
<使用機器> 電界放出型走査電子顕微鏡 日立ハイテクノロジーズ S-4800
太い孔が「道管」で根から水を吸い上げる管で、人間で言えば血管のようなものです。
「道管」の壁面にも孔が確認できます。
備長炭は樫を材料とした木炭(狭義には姥目樫)で、硬くて火持ちが良いことが知られています。 割った面を観察してみると、無数の細孔を確認することができ、1g当たり200~300m2(テニスコート1面強)の表面積があると言われております。この非常に大きな表面積により匂いを吸着します。 炭は電気が流れるので、小さく割って試料台に固定すれば観察に供することができるのですが、この表面積の影響で真空引きに時間がかかります。
FE-SEMによる金属の破断面観察
金属材料の破面(破損した切り口)を観察することで破損の原因を調べることができます。
<使用機器> 電界放出型走査電子顕微鏡 日立ハイテクノロジーズ S-4800
金属が破断した際の正常な破面で、結晶組織が引きちぎられて破断する「粒内破壊」の破断面です。多くの窪みが確認できることから「ディンプル模様」とも呼ばれています。
破壊が進んだり止まったりを繰り返していく際に見られる破面で、ストライエーションとも呼ばれます。木の年輪のように見える筋目が破壊の進行を示したものですが、通常の構造部材は破面が小刻みに擦れてしまうためこのような綺麗な模様が残ることは稀です。
金属組織の結晶粒界に沿って破壊が進行した場合に見られる破面です。例えば、応力腐食割れの場合はこのような破断面を示します。
金属の破面観察は比較的低倍率で行われます。
FE-SEMによるTiO2ナノチューブの形態観察
FE-SEMによる拡大観察をおこなうことで微細な構造を見ることができます。今回は作製方法の異なる2種類のTiO2ナノチューブの形態観察を行いました。
<使用機器> 電界放出型走査電子顕微鏡 日立ハイテクノロジーズ S-4800
細い管がびっしり並んでいる様子がわかります
こちらは繊維のように見えます
管の直径が数十nmであることがわかります
管というより棒のように見えます
FE-SEMによる端子の断面観察
精密機械研磨、イオンミリング装置による前処理を施した端子断面をFE-SEMで観察することで内部の構造を鮮明に見ることができます。
<使用機器> 電界放出型走査電子顕微鏡 日本電子 JSM-7800F Prime
イオンによる研磨は試料に与えるダメージが少なく、金めっきのように軟らかい素材でも鮮明に観察することができます。
FE-SEMによる粘着テープの形態観察
低真空モード(通常の観察条件よりも真空度を下げる=より大気圧に近い状態)での観察をおこなうことで、有機物を無蒸着で容易に観察することができます。
<使用機器> 電界放出型走査電子顕微鏡 日本電子 JSM-7800F Prime
FE-SEMによる金属担持酸化チタンの観察
反射電子(BSE: Backscattered electron)による観察をおこなうと、成分の違いをコントラストで見ることができます。
<使用機器> 電界放出型走査電子顕微鏡 日本電子 JSM-7800F Prime
FE-SEMによる磁気フィルム表面のSEM観察画像と面分析
EDS(エネルギー分散型X線分析装置)の面分析機能を使用するとどの成分が何処にあるのかが解ります。
<使用機器> 電界放出型走査電子顕微鏡 日本電子 JSM-7800F Prime
エネルギー分散型X線分析装置 サーモフィッシャーサイエンティフィック NORAN System 7
磁気フィルム表面においてSEM観察とEDS面分析を行った結果です。
面分析は、どの成分が何処にあるのかが判るため付着物の解析や分布に偏りがある場合に有効です。
SEM/EDSは電子ビームをスキャンしながら分析データを取り込めるので、このように位置情報と合わせることが可能です。
この他、点分析や線分析、精度は若干低いですが定量分析も可能です。