【プレスリリース】下痢型過敏性腸症候群の診断を補完する分類器を開発

― 患者の腸内におけるタンパク質分解酵素の特徴が明らかに ―

本研究成果のポイント

  • 便中タンパク質分解酵素活性を網羅的に測定することで、健常者と IBS-D 患者を識別できることが明らかになった。
  • IBS-D 患者の便中ではトリプシン様タンパク質分解酵素活性が高く、エラスターゼ様タンパク質分解酵素活性が低いことが明らかになった。
  • 本研究で機械学習により作成した分類器は、IBS−D 患者の診断の補完に繋がることが期待される。

概要

 慶應義塾大学先端生命科学研究所に所属する慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程 3 年田中一己と福田真嗣特任教授(順天堂大学大学院医学研究科細菌叢再生学講座特任教授・KISTEC 腸内環境デザイングループグループリーダーを併任)らの研究グループは、東京大学大学院薬学系研究科の浦野泰照教授と小松徹助教、東北大学大学院医学系研究科の福土審教授と田中由佳里助教(研究当時)らとの共同研究成果として、下痢型過敏性腸症候群患者 (IBS-D)の便ではトリプシン様のタンパク質分解酵素活性が高く、エラスターゼ様のタンパク質分解酵素活性が低いことを明らかにしました。また、384 個のタンパク質分解酵素活性測定データを用いた機械学習により、高い精度で健常者と IBS-D 患者とを便から見分けられることを明らかにしました。

 本研究の成果は、スイスの微生物学研究分野のオンライン学術誌「Frontiers in Microbiology」に 2023年7月 7 日付(現地時間)で掲載されました。

特記事項

 本研究は、日本学術振興会 特別研究員奨励費、科学研究費助成事業、科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業(JST ERATO)深津共生進化機構プロジェクト、戦略的創造研究推進事業 (JST PRESTO)、日本医療研究開発機構 革新的先端研究開発支援事業(AMED-CREST)、糧食研究会、Sylff Research Grant、森泰吉郎記念研究助成金、潮田記念慶應義塾大学博士課程学生研究助成プログラムの支援により実施されました。

発表機関

 本研究成果は、慶應義塾大学先端生命科学研究所、神奈川県立産業技術総合研究所による共同発表です。

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