【プレスリリース】マルチフェロイック酸化物の単一分域ナノドット化に成功―次世代低消費電力磁気メモリの構築へ前進ー

 東京工業大学 物質理工学院 材料系の小澤慶太大学院生(研究当時)、勝俣真綸大学院生(研究当時)、長瀬泰仁大学院生(研究当時)、同 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の重松圭助教、東正樹教授の研究グループは、住友化学次世代環境デバイス協働研究拠点において、神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)と共同で、磁石の性質(強磁性、用語1)と電気を蓄える性質(強誘電性、用語2)を併せ持つマルチフェロイック酸化物(用語3)をナノサイズのドット形状として合成することに成功した。
情報通信のエネルギー消費量が著しく増加する中、マルチフェロイック酸化物の次世代低消費電力不揮発性磁気メモリデバイスへの応用を目指した取り組みが進められている。特に、電気分極の反転で磁化を反転できるコバルト酸鉄酸ビスマスは、電圧による磁化反転で記録する次世代磁気メモリへの応用が期待されるが、実用化するには、微細化によって強磁性と強誘電性を単一分域で生じさせる必要がある。
 今回の研究では、陽極酸化アルミナ(用語4)に自発的に形成する細孔構造を活用して、コバルト酸鉄酸ビスマスを60ナノメートルのドット状で作製した。このナノサイズのドットを走査型プローブ顕微鏡(用語5)によって調べることで、強誘電性と強磁性の単一分域(用語6)が実現していることを示した。この成果は、超低消費電力・不揮発性磁気メモリとして応用する際に、コバルト酸鉄酸ビスマスを高密度に集積できることを示しており、環境に配慮した次世代メモリデバイスの構築へ大きく前進したといえる。
 研究成果は4月9日(現地時間)に米国化学会誌「ACS Applied Materials and Interfaces(エーシーエス・アプライド・マテリアルズ・アンド・インターフェイシズ)」のオンライン版に掲載された。

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