ヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析法によるシリコーン系材料の低分子環状シロキサンの定性定量分析

化学技術部
海老名
  • ガスクロマトグラフ成分分析
  • 有機材料
  • #成分分析

なぜヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析法を用いるのか?

シリコーン系材料から発生する低分子環状シロキサンは電子部品の電気接点障害の原因となります。
低分子環状シロキサンは揮発性があり、リレースイッチなどの電子部品の接点部に付着し、接点開閉時のアーク等によって酸化分解され、二酸化ケイ素(SiO2)となって、これが蓄積すると導通性がとれなくなります。

ヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析(HS-GC/MS)法は試料を専用のバイアル瓶に入れ、密閉した後に設定した温度で加温します。試料から気化した成分をGC/MSで分析し、どういったガスがどれくらいの量揮発したかを調べる装置です。
シリコーン系材料をHS-GC/MSで分析することで、使用温度環境における低分子環状シロキサンの発生を調べることができます。

HS-GC/MSの外観
図1 HS-GC/MSの外観
シリコン系材料を専用のバイアル瓶に入れ密閉した分析試料
図2 シリコン系材料を専用のバイアル瓶に入れ密閉した分析試料

分析結果

150 ℃で30 分間シリコーン系材料を加温した時のHS-GC/MS結果を示します。D3は検出されませんでしたが、D4~D10が検出されました。これらの低分子環状シロキサンが検出されるシリコーン系材料の近くに電子部品がある場合は接点不良のリスクが高くなります。

定量の場合はD3~D6についてはそれぞれの標準試薬により定量値を求めますが、D7~D10については、D6による換算値となります。

HS-GC/MS分析結果の一例
図3 HS-GC/MS分析結果の一例
環状ジメチル型の低分子シロキサンの化合物名
表1 環状ジメチル型の低分子シロキサンの化合物名

ヘッドスペースによる加温可能な温度範囲は40 °C~180 °Cです。
サンプル形状は別途相談をお願いいたします。

料金

NO. 項目 単位 料金
E2330 ヘッドスペースGCMS分析 1試料1成分につき 57,860
E2331 ヘッドスペースGCMS分析  定性分析 1成分増 1成分増すごとに 5,720
E2332 ヘッドスペースGCMS分析  定量分析 1成分増 1成分増すごとに 6,710

ご利用方法

依頼試験(KISTEC事業名:試験計測)、委託受託(KISTEC事業名:技術開発受託)で利用できます。

今回のヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析法によるシリコーン系材料の低分子環状シロキサンの定性定量分析の事例については、
シリコーン系材料を取り扱うメーカー、販売業者電子機器メーカー、販売業者 の皆様におすすめです。

以下のようなお悩み・課題の解決にご活用ください。
・低分子環状シロキサンによる電子部品の接点不良対策