プラスチックの耐候性試験と劣化評価-引張試験、TG-DTA、FT-IR-

化学技術部
海老名
  • 熱物性測定
  • 強度試験
  • 有機物定性分析
  • 高分子材料
  • #熱分析
  • #強度試験機
  • #劣化

 プラスチックは、軽量性、易加工性、低コストといった金属材料などに対する優位性から、使用用途が広い一方で光・熱・水などの環境因子による劣化はさけられず、製品トラブルになることが少なくありません。そこで、プラスチックの劣化現象を的確かつ迅速に把握し、原因究明につながる情報を提供するため、促進耐候性試験機を用いて、プラスチックを劣化させ、各種機器による解析・評価を行っています。

 ここでは、グレージング材や筐体として用いられるポリカーボネート(PC)の劣化解析事例を紹介します。

 キセノンウェザーメータを用いてPCフィルムの促進耐候性試験(放射照度60W/m2、BPT63℃、スプレー18分/120分、試験時間800h)を行ったところ、試験後に黄変が見られました。このフィルムについて、引張試験、示差熱熱重量測定(TG-DTA)、フーリエ変換赤外分光分析(FT-IR)を用いて、劣化に伴う機械的特性、熱特性、化学構造の変化を評価しました。

 引張試験においては機械的強度の低下が認められました。

 また、TG-DTAから、2 %重量減少温度(加熱により2 %の重量減少が観測された温度)の低下が観測されました。2 %重量減少温度の低下は主鎖の切断による低分子化が一因と考えられ、分子量の低下により機械的強度が低下したと推察されました。

 FT-IR からは、光フリース転位反応に伴う黄色を呈する化学構造の生成が示唆され、外観の黄変を説明することができました。

 劣化要因は1つではないため、劣化現象の解析は、複数の試験・分析手法で総合的に評価することが重要です。KISTECでは耐久性試験から劣化評価まで一貫してご相談に対応いたしますのでお気軽にお問い合わせください。

ポリカーボネートの劣化評価事例
図 ポリカーボネートの劣化評価事例

使用機器

促進耐候性試験機(キセノン)
フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)
材料試験機(50kN)
示差熱熱重量測定装置

料金

NO. 項目 単位 料金
E2841 引張試験(50kN以下) 1試験片につき 3,190
E2411 示差熱熱重量測定(TG/DTA) 室温~600℃ 1測定につき 15,840
E2021 フーリエ変換赤外分光分析(FT-IR) 1スペクトルにつき 20,350
E1397 促進耐候性試験(キセノン) 標準条件(放射照度60W/㎡、BPT63℃、スプレー18分/120分)の場合 1試料50時間につき 20,460
E2940 プラスチック製品の破断面観察 1試料につき 29,150
E2942 プラスチック製品の破断面写真撮影(倍率変更) 写真1枚につき(E2941に適用) 1,430
E2943 プラスチック製品の外観撮影 写真1枚につき(E2940に適用) 1,430
E0011 走査電子顕微鏡写真撮影 5万倍以下 1試料1視野観察につき 21,120

ご利用方法

依頼試験(KISTEC事業名:試験計測)、委託受託(KISTEC事業名:技術開発受託)で利用できます。