2023年5月12日
各種硬さ試験機の違いによる金属材料の硬さ試験
各種硬さ試験機の違いの特徴
JIS(Japanese Industrial Standards:日本産業規格)に規程されている硬さ試験は様々あります。
各硬さ試験はどのように選んだらよいのでしょうか?
ここではKISTECで保有する硬さ試験機について、用途とその適用材料についてご説明いたします。
ブリネル硬さ試験(JIS Z2243-1)
ブリネル硬さ試験は鋼球あるいは超硬球を試料表面に任意の荷重で押し込み、くぼみの直径を測定することで硬さに換算する試験方法です。球は5mmと10mmが選択できます。荷重はHBW500~3000(試験力4.903kN~29.42kN)の間になります。試料台サイズはΦ65で高さは250mmまで測定可能です。
ブリネル硬さ試験では主にアルミニウムなどの軟質材料や鋳物といった試料に対して、大きな圧痕をつけることで硬さのバラツキを抑えることを目的としています。圧痕が大きいため測定対象の試料も比較的大きなものになります。圧痕サイズは5~10mm程度になります。
ビッカース硬さ試験(JIS Z2244-1)
ビッカース硬さ試験はダイアモンドの四角すい圧子を任意の荷重で押しつけ圧痕の対角長さから硬さに換算する試験方法です。荷重によって試験機が変わり1~50kgfでは通常のビッカース硬さ試験を用いて数百μmくらいの圧痕を測定します。試料台サイズは120×120mmで高さ100mmまで測定可能です。
それ以下の低荷重(5gf~1000gf)ではマイクロビッカース硬さ試験機を用いて数十μmくらいの圧痕を測定します。試料台サイズは100×100mmで高さ70mmまで測定可能です。
ビッカース硬さ試験機には顕微鏡が付属していますので、局所的な部分を狙って硬さ測定が行えます。
例えばJIS G0557「鋼の浸炭硬化層深さ測定方法」やJIS G0562「鋼の窒化層深さ測定方法」のように表面から内部に向かって硬さの分布を取得することや溶接部における溶接金属や熱影響部の硬さの変化などを測定します。
溶接関連の分析事例は下記のリンクをご参照ください。
スポット溶接による溶接部の評価技術
ロックウェル硬さ試験(JIS Z2245)
ロックウェル硬さ試験は測定する手法により圧子や荷重が異なります。測定手法により初期荷重と追荷重が決められており、その圧子の押し込み時の変位量から硬さに換算します。ブリネルやビッカースのように圧痕サイズを測定する必要がないので工業的に最も使用される測定方法です。よく使用される測定手法(スケール)はHRCでダイアモンドコーンの圧子を押し付ける方法です。主に鉄鋼材料に対して使用します。HRBは軟質材料に対して使用します。そのほかHRAやロックウェルスーパーフィシャルなど1台で様々な測定手法が選べる多機能試験機です。また、圧痕を測定しないので表面性状はビッカースの測定の時のように精研磨までする必要はありません。圧痕サイズはおおむね1~2mm程度になります。
この他にもJISで規定している硬さ試験は多数ありますがKISTECで保有している硬さ試験機は上記4機種となります。硬さ試験の選択にお困りでしたらお気軽にご相談ください。
ご利用を希望される方へ
このページのご紹介内容は、 依頼試験、委託開発でご利用いただけます。
使用機器
料金
NO. | 項目 | 単位 | 料金 |
---|---|---|---|
E0180 | 硬さ試験 | 1点につき | 1,100 |