XPS元素分析からみる光触媒のガス分解性能

川崎技術支援部
溝の口
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XPSによる試料表面の元素分析を実施することで、試料のアセトアルデヒド分解性能の優劣について考察することができます。

試料

  1. 添加剤や分散方法の異なる2種類の光触媒溶液を作製しました。
  2. スピンコート法を用いてガラス基板に溶液を塗布し乾燥させました。
試料の外観:試料A
試料の外観: (a) 試料A
試料の外観:試料B
試料の外観: (b) 試料B

アセトアルデヒド分解性能試験

まず、試料のアセトアルデヒド分解性能試験を実施しました。

  1. 試料を0.5 L反応器内に設置し、アセトアルデヒドを初期濃度100±5 ppmになるよう導入。
  2. 試料に所定の照射条件で光照射を開始し、アセトアルデヒドおよび二酸化炭素の濃度を光音響マルチガス分析器で1時間測定。

試料Bは、Aに比べてアセトアルデヒドの分解速度が遅く、理論値(アセトアルデヒドの2倍量)よりも二酸化炭素の生成量が多いことが分かりました。

アセトアルデヒド分解性能試験の結果
アセトアルデヒド分解性能試験の結果

試料Bは、Aに比べてアセトアルデヒドの分解速度が遅く、理論値(アセトアルデヒドの2倍量)よりも二酸化炭素の生成量が多いことが分かりました。

(この試験で用いた機器はこちら→)光音響マルチガス分析器

XPSワイドスキャン分析

次に、試料のXPSワイドスキャン分析を実施しました。

XPSワイドスキャンによる元素分析および簡易定量
XPSワイドスキャンによる元素分析および簡易定量

試料Bは、Aに比べて表面の炭素(C 1s)が約3.3倍、チタン(Ti 2p)は約0.6倍程度であることが分かりました。試料Bは、Aに比べて表面に露出した光触媒が少なく、またその原因は表面の有機物にあることが示唆されました。

この結果より、試料Bでは、アセトアルデヒドの分解と光触媒表面を汚染している有機物の分解が並行して起きることで、試料Aに比べてアセトアルデヒドの分解速度が遅く、二酸化炭素の生成量が多くなったと考えられます。

XPSは、試料表面の極薄い層(数nm)の元素分析に用いられる機器です。そのため、表面で反応が進行する光触媒材料と相性が良い分析機器といえます。

(この試験で用いた機器はこちら→)X線光電子分光分析装置(走査型・XPS)[Quantera SXM]

使用機器

光音響マルチガス分析器
X線光電子分光分析装置(走査型・XPS)[Quantera SXM]

料金

NO. 項目 単位 料金
K3122 その他光触媒性能試験 1時間につき 7,150
K5002 X線光電子分光分析(走査型・XPS・表面分析・ワイドスキャンのみ) 1試料1ヶ所につき(ワイドスキャンのみ) 27,610
K5005 X線光電子分光分析
(走査型・XPS・表面分析・ワイドスキャンのみ) 追加試料
追加1試料1ヶ所につき(ワイドスキャンのみ) 21,780
今回のような分解性能試験を実施した場合は上記料金表のK3122が工数に応じて積算されます。
XPSワイドスキャン測定を実施した場合は、上記料金表が適用されます。詳細はお問い合わせください。

ご利用方法

依頼試験(KISTEC事業名:試験計測)で利用できます。