2024年12月10日
電解ミスト抑制法の開発
合同会社アイル・MTT、旭産業株式会社、KISTEC化学技術部
クロムめっきの工程では水の電気分解にともなって水素ガスや酸素ガスが発生します。そしてこれらのガスとともにめっき液が飛沫として随伴し、有害な6価クロムを含むミストがめっき槽から飛散します。6価クロムは鼻潰瘍、鼻中隔穿孔、気道障害、皮膚障害等の健康障害を引き起こし、ヒトに対して発がん性もあるため、ミスト飛散防止の対策が必要となります。
本研究で開発したTMミストガードはめっき液よりも比重が小さく、表面張力を低下させる界面活性剤を含む溶液です。これをめっき液に添加してから電解することで、微細気泡が界面に存在する界面活性剤に付着し、飛散を抑制させます。また、TMミストガードはクロムめっきの密着性に影響しないことや、ビッカース硬さ(硬度:HV1000以上)も良好な値が得られるなど、めっきに影響がないことを確認しています。
クロムめっきは作業環境基準から局所排気装置を必要とするため、TMミストガードを使用しても局所排気装置による吸引と循環水による6価クロムの回収に係る費用は発生しますが、ミスト量が低減することで、排ガス処理の薬品費も低減します。この技術について、令和6年度の環境技術実証事業に申請する予定です。