2024年12月10日
ダイレクトメタノール燃料電池の実用化に向けた試作研究
アットドウス株式会社、ヨダカ技研株式会社、KISTEC化学技術部
電気浸透の原理を用いたポンプ(EOポンプ)は、機械的な可動部分がないため脈動がなく、極微小流量から安定した送液が可能という特徴があります。また、密閉構造のため空気の混入や液漏れ、不純物の混入の心配がなく医療機器向けをはじめ様々な分野への応用が期待されています。しかしながら、EOポンプの駆動には数十ボルトの比較的高い電圧が必要になり、ウェアラブル用途や携帯・可搬型用途では、その電源の開発が課題となっていました。
本研究では、アットドウス株式会社が、ヨダカ技研株式会社の持つEOポンプの技術とKISTECの持つマイクロ燃料電池技術を活用して、これまでにない新たなダイレクトメタノール燃料電池の開発を進めてきました。初年度はEOポンプの耐久性改善とマイクロ燃料電池の集積化を行い、2年目は基板上に超小型の燃料電池を直列に複数配置したマイクロ燃料電池を用いて、EOポンプの駆動に初めて成功しました。最終年度となる今年度は本格生産に向けてマイクロ燃料電池の作製工程の見直しを図りました。その結果、不良率の大幅な改善とともに電池性能も向上し、1チップでのEOポンプ駆動を可能にしました。またKISTECが権利化したマイクロ燃料電池の特許2件についてアットドウス株式会社への権利移転を行うとともにマイクロ燃料電池の作製技術の移転も完了しました。これによりアットドウス社内での開発体制を構築するなど、事業化に向けて大きく進展しています。