2024年12月9日
ラマン分光を用いた食品中の機能性成分の迅速定量装置の開発
株式会社分光科学研究所、東京大学、KISTEC化学技術部
近年の健康ブームのもと、未病の予防の観点から特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品に代表される健康食品の市場規模が拡大を続けています。製品としての健康食品の機能性の科学的根拠を示し、品質安定性を保証するために、ビタミン等の機能性成分の迅速定量装置に対する需要が食品製造業界向けに見込めます。
本研究では、(株)分光科学研究所の有するラマン定量分析技術、東京大学の有するガルバノ分光イメージング技術、KISTECの有する各種分光測定のノウハウを組み合わせ、(株)分光科学研究所による機能性成分のラマン迅速定量装置の事業化に取り組んでいます。初年度は、装置のプロトタイプ試作を進め、市販の栄養機能食品中の各種ビタミン類の含有量を精度よく迅速分析可能なことを実証しました。この結果を受け、2年目に生体試料の分子定量装置として受注し、初号機を納入しました。これに加え、試作機にガルバノスキャン機能を追加し、栄養機能食品などの迅速分析に有効なガルバノ広領域高速平均化測定の原理確認を行いました。最終年度となる令和元年度は、2年目の試作機で得られたミリメートル四方の測定領域をセンチメートル四方程度まで拡大することができ、市場からの要望仕様を満たす目処がつきました。これまでの開発結果は、記者発表や展示会出展、学会発表などを通じ、積極的な広報を進めています。