2024年12月9日
高齢者の運動機能を高めるVRの可能性の検討
目的
急速な高齢化の進展等を背景に、支援する側の負担を軽減し、高齢者の身体機能の維持と自立した生活を維持できるよう福祉用具開発への期待が高まっている。デイサービス(通所介護)では、理学療法士による運動機能維持を目的としたプログラムがあるが、1人に対して十分なケアができないのが現状である。また、施設が広くないために、効果的な運動をするのが難しい。そこで、安全かつ、省スペースで運動効果を期待できるVR技術(装置・コンテンツ)用いて高齢者の運動サポートの有用性と使い手の視点を探るためユーザビリティを調査し、課題抽出、ビジネスモデルの新たな可能性を検討する。
可能性評価の具体的な実施内容と結果
今後のビジネスモデルを見据え、ターゲットユーザーとなる高齢者を対象にユーザビリティ調査を行うにあたり、VRコンテンツ事業者、デイサービス事業者、理学療法士、KISTECの体制で共創し、以下の検討、ユーザビリティ調査を行った。
・VR装置の検討(高齢者が受け入れやすいVR装置であること)
・検証用コンテンツ検討(安全性や介護度に配慮した運動を促がすコンテンツ内容)
・利用環境、ターゲットユーザー高齢者の介護度の対象検討
・ユーザビリティ達成基準、アンケートの策定、調査方法の検討
ユーザビリティ調査は、既存VR製品2種類と検証用VRコンテンツを用いて、ターゲットユーザーの高齢者と健常者を被験者に実際に行っている行動をヒアリングとチェックリストに沿って比較観察した。新型コロナウイルス感染防止の観点から、遠隔による調査方法の検討をし、現地(デイサービス)での人数を極力少ない形で調査を実施した。
その結果、視界を覆うVR装置に概ね抵抗もなく、VRコンテンツによる運動効果の可能性も見られた。今後のビジネスモデルの基盤となる情報を得ることができた。
評価
ユーザビリティ調査によって、高齢者とVR技術(装置・コンテンツ)との関係性と課題が明らかになった。更にVRコンテンツを改良していくことで高齢者への運動効果が期待される。