微細加工ミスト抑制法の検討

化学技術部
海老名
  • 塗膜・めっき性能評価
  • 有機材料
  • #技術開発可能性評価支援

目的

 めっき作業ではめっき工程において発生するミストにより,作業員が肌の炎症などを生じる危険性があり,特にクロム酸ミストでは鼻中隔穿孔など鼻や上部気道障害を引き起こす問題がある。対策として,ミスト発生抑制剤をめっき浴に添加しているが,大きい浴槽では添加量が多くなること,浴内での抑制剤の消耗による添加によって使用量が多くなる問題がある。そこで,発泡性のミスト発生抑制剤を開発し,めっき液面に噴霧することで抑制剤使用量を削減し,効率的なミスト抑制をめざす。

可能性評価の具体的な実施内容と結果

 クロムめっき用の浴槽からめっき作業中に発生するミストを捕集し,ミスト中のクロム酸濃度を測定した。ミストの捕集は「作業環境測定ガイドブック」に準じた手法で採取し,ジフェニルカルバジド吸光光度法により六価クロム酸の濃度を測定した。

 評価試験は通常のメッキ作業中の場合とミスト発生抑制剤を噴霧した場合とを比較した。めっき作業時にはめっき浴から発生する気泡によりミストが発生している。抑制剤を噴霧した場合には噴霧直後から抑制剤が発泡し,めっき浴表面が発泡した抑制剤に覆われた。この時の大気中のクロム酸濃度は通常作業時に比べて,クロム酸ミストを30%程度低減できることが確認された。一方で噴霧時の空気の流れによってミストの拡散も生じることから,今後は噴霧方向や噴霧時間,排気装置の排気量について検討する必要がある。

評価

 発泡性のミスト発生抑制剤を噴霧することで,少量でめっき浴からのミストを抑制できることが確認できた。今後は噴霧時間や排気装置との風量を調整することで効率的にミストの抑制が可能であることが示された。