2024年10月31日
情報・生産技術部研究テーマ(令和5年度)
当所の研究職員が技術相談、依頼試験及び委託開発等の中小企業に対する支援を効果的に行うために技術資産の蓄積を目的として、令和5年度に取り組んだ研究テーマをアーカイブとしてご紹介します。
軟性3D造形物の弾性率が触り心地に与える影響とその評価
3Dプリンタによるインソールやヘルメットなど柔軟性のある最終製品が近年、登場していることから、3Dプリンタ造形物の触り心地を良くする研究は社会的に意義があると考えられる。心理物理学的背景として触り心地のよさと弾性率には非線形性があることが知られており、かつ技術的背景として造形物の構造や材料を変えることで多様な弾性率を設計、造形ができる。このことから本研究では3Dプリンタを用いて幾何形状が弾性率に与える影響を機械計測し、心地よさに与える影響を心理物理実験を用いて定量化し、心地よい触り心地の設計方法を確立する。
機械学習を用いたレーザ溶接における溶け込み深さの予測とブローホール検出モデルの構築
レーザ溶接においては狙った溶け込み深さに対して加工条件の選定に多くの時間を要する.さらに,溶接欠陥の一つであるブローホールは加工条件の検討によりその発生確率を抑えることができるが,突発的に発生することがあるため別工程での検査が必要となる.そこで,レーザ溶接条件検討の省力化に加え,加工時に発生する信号をモニタリングするインプロセスでの検知が求められている.本研究ではレーザ溶接条件,発光強度と溶融池形成後の温度からなるモニタリング,各種評価(断面観察,外観撮影,RT)により得られたデータを元に機械学習を行い,溶け込み深さの予測モデルとブローホール検出モデルの構築を行う.
小規模工場のスマート化を実現するためのDocker/Kubernetesを利用した外観検査模擬システムの構築
近年、スマートファクトリは製造業におけるDXの実現方法の一つとして注目を集めている。生産現場と経営層が一体となって事業変革を推し進める枠組みとして期待されており、各所で既存工場のスマート化に関する報告がなされている。しかしながら、これを実現するためにはICTシステムとICT人材が不可欠であり、中小製造業におけるシステムの構築・運用は部分的にICTベンダーを利用しつつベンダーロックインに陥らない方法が望まれる。本研究では、既存の中小工場のスマート化を想定し、コンテナ仮想化技術を利用した外観検査模擬システムを構築し、中小工場へ適用する上での課題を抽出する。