2024年10月31日
川崎技術支援部研究テーマ(令和5年度)
当所の研究職員が技術相談、依頼試験及び委託開発等の中小企業に対する支援を効果的に行うために技術資産の蓄積を目的として、令和5年度に取り組んだ研究テーマをアーカイブとしてご紹介します。
光改質反応における基質前処理の影響
①背景:光触媒について、これまで環境浄化分野の相談・依頼が多かったが、その一方で、人工光合成分野に関する相談が年々増加傾向にある。
②目的:人工光合成分野に関する相談や依頼に対応できる試験体制を構築し、企業、大学等での研究、製品開発の一助となる。
③実験内容:光改質反応より有機性廃棄物から水素を生成するCdS光触媒をターゲットとして、材料、前処理の違いによる水素生成能および有機成分濃度を観測する。
次世代金属微細回路の作製および解析手法の確立
①5G向け通信機器の金属微細回路において、めっき膜の密着性、平滑性、及びそれらを解析する技術は重要な要素となっている。
②ダイレクトパターニングめっき技術を用いて次世代基板材料へ金属微細回路を作製し、電子顕微鏡による解析が困難とされる次世大材料の解析手法の確立を目指す。
③ダイレクトパターニングめっき技術を用いた次世代金属微細回路の作製、及び電子顕微鏡を用いた次世代金属微細回路の解析。
軽元素材料のイメージング技術の研究
①背景:カーボン材料、ホウ素系セラミックス、高分子のような軽元素を主成分とする材料は電子顕微鏡観察下ではコントラストが乏しく、金属などと比較すると視認性が低い。内部構造の観察を目的として材料を樹脂包埋した場合、視認性の低下はさらに顕著となり、包埋に用いた樹脂と材料の区別が付かなくなることもある。このような背景から当研究所では軽元素材料を電子顕微鏡観察下において鮮明にイメージングできる技術を開発した(特許出願中)。
②目的:本研究では、これまでイメージングが困難とされてきた軽元素材料の詳細な構造評価を行い、新たな材料解析手法を確立することを目的とする。
③実験内容:グラフェンナノプレートレット(GnP)、ホウ素系セラミックス、カーボン被覆材等へ開発した技術を応用して微構造と材料特性の関係を明らかにする。
ペロブスカイト太陽電池の光加速試験による耐久性評価
①背景:新型太陽電池の製品化において、稼働年数を明確にすることが望まれ、その方法の一つして高放射照度の光照射による光加速試験の検討が行われている。
②目的:ペロブスカイト太陽電池の光加速試験を行い、寿命予測の一助とする。
③実験内容:ペロブスカイト太陽電池の光加速試験を行いデータを蓄積する。
ペロブスカイト太陽電池の劣化解析基盤の構築
①背景:カーボンニュートラルに向けた社会情勢を受けて、次世代の太陽電池であるペロブスカイト太陽電池(PSC)が注目されている。しかし、PSCは耐久性に課題があり、水分、酸素、熱などが原因で発電性能の低下を引き起こす。本研究では、PSCデバイスの劣化機構を明らかにし、実用化に貢献する。
②目的:PSCの耐久性、劣化機構を明らかにする。
③実験内容:結晶シリコン太陽電池、三接合太陽電池、ペロブスカイト太陽電池について高照度下、温度変化での試験を実施し特性評価を行う。
ウィズコロナ時代に向けた抗ウィルス製品のスクリーニング法の研究開発
①背景:コロナ禍で、各種抗ウイルス製品の研究開発が盛んにおこなわれている。費用などのハードルが高い効ウイルス性能試験の代替となる評価法が求められている。
②目的:光触媒JIS試験などを用いた抗菌抗ウイルス性能スクリーニング試験方法を開発する。
③実験内容:各種性能試験と抗菌抗ウイルス性能試験を同じ試料に対して実施し、相関を確認してデータベースとすることで、セルフクリーニング性能試験を抗ウイルス製品の性能評価法として提案する。