2024年12月9日
電子材料用途向け溶媒置換セルロースナノファイバー添加ソルダペーストの開発と品質評価
松尾ハンダ株式会社、富山大学、KISTEC電子技術部
近年、電子機器の小型化、高性能化、高出力化に対応するため、電子機器の組み立てに使用するはんだ接合部についても微細化や高信頼性化など品質向上への要求が高まっています。ソルダペーストは表面実装部品などの微小な電子部品のはんだ付けには必須の材料であり、はんだ接合部の品質向上のためにはソルダペーストの性能向上が必要とされています。セルロースナノファイバー(CNF)は植物繊維を解きほぐすことによってナノサイズまで微細化した物質で、植物由来であるため環境負荷が小さくナノスケール効果による新たな機能を持った素材として注目されています。このCNFをソルダペーストに添加することによってペーストの流動性改善によるボイドの低減・外観形状の改善、はんだ内部の金属組織の微細化によるはんだ接合強度や信頼性の向上が期待されます。
本研究ではCNFを添加したソルダペーストについて最適な添加量及び添加方法を見出し、はんだ接合部の接合強度向上、はんだ接合部のボイド低減、はんだ接合部の温度サイクル耐久性を向上させた製品の開発を目指しています。令和4年度はCNFの添加量を変えたソルダペーストの試作を行いペースト中の添加量を制御する生産技術を確立しました。今後は品質や信頼性などの観点から最適なCNFの添加量を見出し、量産化を目指して開発を進めていきます。