情報セキュリティ理解のための先端暗号技術入門
― 量子時代に向けた暗号技術の基礎と、高機能暗号、
耐量子計算機暗号の理解へ向けて ―
募集を終了致しました。たくさんのお申し込みをありがとうございました。
開講期間
●令和3年11月25日(木)基礎編:カードベース暗号・プログラム実装などの実習有り
●令和3年11月29日(月)先端編:量子計算などの実習有り
●令和3年11月30日(火)応用編
計3日間、各日選択可(各編をお好きな組み合わせでご受講いただけます)
※各日10:00~16:30
※ご希望の場合は、直接講師とお会いできる対面(会議室)受講が可能です。(諸状況によりオンライン開催のみとなる可能性がございます)
開催方法
オンライン開催
全日程、ZOOMを利用したオンライン開催です。受講要項をご確認の上、お申込みください。
≫PC、スマートフォン、タブレットでもご受講いただけます。
≫ご受講書類・テキストは、お申込みいただいたご住所宛に事前に郵送いたします。
※ご自宅や職場でのオンライン受講が難しい場合には、お気軽にご相談ください。
*対面(会議室)併設開催について
ご希望の場合は、直接講師とお会いできる対面(会議室)受講が可能です。
かながわサイエンスパーク内 講義室 (川崎市高津区坂戸3-2-1)
※諸状況によりオンライン開催のみに変更となる可能性がございます。
募集人員
15名 *先着順
対象者
企業、研究機関にご所属で、
◆ 量子時代の暗号技術について学び始めたい方
◆ 情報通信、サイバーセキュリティ分野の技術開発に携わる方
◆ 新たなコンピュータの開発を目指す方、コンピュータ技術( ハード、ソフトウェア)のセキュリティや暗号技術に携わる方
◆ DX、IoTの導入、設計に携わる方
◆ 暗号技術の開発、実装に携わる方
◆ 数学(mod計算、ベクトルなど)に馴染みがあり、暗号技術に関心をお持ちの方
◆ 現代の暗号(共通鍵暗号、公開鍵暗号、デジタル署名、RSA暗号等)からさらに進んだ技術の導入を検討している方
受講料(消費税込み)
お好きな組み合わせで受講日数をお選びいただけます。
区 分 全日程 1日受講
A 一般 48,000円 18,000円
B KISTEC パートナー団体会員 38,400円
C 神奈川県内中小企業 38,400円
D C以外の神奈川県内企業 43,200円
E 神奈川県内在住の個人の方 43,200円
※ 神奈川県内中⼩企業とは・・・神奈川県内に事業所があり、資本金が3億円以下または企業全体の従業員数が300名以下の企業を指します。
カリキュラム内容と日程
企業の方々が基礎から応用までの幅広く知識を習得することを目的とし、特に、独学ではキャッチアップすることが難しい最先端技術に関してもわかりやすく解説いたします。
理論と先端技術(1日目・2日目)を学びたい場合や、理論のみ(1日目)、暗号技術応用(2~3日目)、先端技術の情報収集(2日目)など、自由にお選びいただけます。お好きな組み合わせでご受講ください。
●11月25日(木)基礎編/基礎的な暗号知識と数学理論、カードベース暗号理論のご紹介●
基礎編では、暗号技術の基礎(RSA暗号・楕円曲線暗号)や、整数論、素因数分解、代数等の数学理論を学び、実際のプログラム実装に触れていきます。
時間 | 講義内容 | 講師 |
10:00-11:30 | 全体概要( オリエンテーション) と暗号技術の基礎 本講座の紹介と自己紹介等の後、現代の暗号技術の理論と全体概要、今後の展望について概説する。 | 國廣 昇 氏 (筑波大学 システム情報系 教授) |
13:00-14:30≪実習あり≫ | カードベース暗号 カードベース暗号は、物理的なカード組を利用して、秘密計算等を実現するものである。ネットワークを必要とせず、手軽に実行できるという利点がある。この講義では、カードベース暗号の原理について説明する。 | 水木 敬明 氏 (東北大学 サイバーサイエンスセンター 研究開発部 ネットワーク研究部 准教授) |
15:00-16:30≪実習あり≫ | 現代の暗号技術を支える数学 現在普及の公開鍵暗号であるRSA暗号と楕円曲線暗号の背景にあるフェルマーの小定理などの初等整数論や楕円曲線の基本性質などの数学的背景を紹介する。また、量子計算機による解読にも耐性を持つと期待される格子暗号の安全性を支える格子問題とその求解アルゴリズムについても述べる。 | 安田 雅哉 氏 (立教大学 理学部 数学科 准教授) |
●11月29日(月)先端編/量子計算と暗号技術の基礎、量子時代の暗号技術開発について●
量子計算の基礎概念や、耐量子計算機暗号の理論に触れ、到来する量子時代に必要な知識を学ぶことができます。
時間 | 講義内容 | 講師 |
10:00-11:30≪実習あり≫ | 格子理論を用いた暗号攻撃 格子理論は暗号理論の様々な場面で用いられているが、その一つに格子簡約アルゴリズムを利用した暗号攻撃が挙げられる。この攻撃法を用いてこれまでRSA暗号への攻撃が多く発表されているが、本講演ではRSA暗号の秘密鍵の部分情報が漏洩した場合を例に攻撃アルゴリズムの構成法を解説する。 | 高安 敦 氏 (東京大学大学院 情報理工学系研究科 数理情報学専攻 講師) |
13:00-14:30≪実習あり≫ | 量子計算基礎とその暗号への応用 大規模な量子コンピュータが完成すると、RSA暗号、楕円曲線暗号など、現在広く利用されている公開鍵暗号は解読されてしまう。 この講義では、量子アルゴリズムの中でもShorのアルゴリズムを紹介し、量子コンピュータと暗号の関係に関して概説する。 | 國廣 昇 氏 |
15:00-16:30 | 耐量子計算機暗号 量子コンピュータの実現後も、安全に通信を行うために、次世代暗号(耐量子計算機暗号)の研究が世界中で活発に行われている。 例えば、NIST(米国国立標準技術研究所)では、耐量子計算機暗号の標準化を進めており、多くの暗号方式が提案されている。中でも主要な暗号方式として注目を集めている格子暗号と、多変数公開鍵暗号を中心に、耐量子計算機暗号について概説する。 | 篠原 直行 氏 (情報通信研究機構 サイバーセキュリティ研究所 セキュリティ基盤研究室 研究マネージャー) |
●11月30日(火)応用編/様々な暗号応用技術( 秘密計算、高機能暗号やブロックチェーン技術)●
暗号理論をベースに、暗号技術の様々な応用について学び、実現のためのアイデアや課題、実社会への応用に触れます。
時間 | 講義内容 | 講師 |
10:00-11:30 | 秘密計算 自分自身のデータを秘密にしたまま、多人数で統計計算などの有益な計算をする秘密計算が注目を集めている。データを安全に流通することができれば、多くの有用なデータの利活用が進むことが期待される。この講義では、秘密計算について基礎から応用まで概説する。 | 大原 一真 氏 (産業技術総合研究所 サイバーフィジカルセキュリティ研究センター 高機能暗号研究チーム 研究員) |
13:00-14:30 | 高機能暗号と証明可能安全性 暗号や署名と言った単純な機能だけでなく、暗号化されたデータに対して検索を行うことができる検索可能暗号や、匿名で署名を行うことができるグループ署名/リング署名などの高機能暗号が注目を集めている。この講義では、高機能暗号を実現するアイデア、および数学的にその安全性を証明する証明可能安全性という枠組みを紹介するとともに、実社会でへの応用も含めて説明する。 | 江村 恵太 氏 情報通信研究機構 サイバーセキュリティ研究所 セキュリティ基盤研究室 研究マネージャー |
15:00-16:30 | ブロックチェーン技術 ブロックチェーン技術は、セキュアな分散台帳システムであり、耐改ざん性と高可用性を併せ持つため、近年、注目を集めている。この講義では、ブロックチェーン技術の基礎を解説するとともに、暗号資産などの応用についても概説する。 | 面 和成 氏 (筑波大学 システム情報系 准教授) |
カリキュラム編成者からのメッセージ
暗号技術は、既に私たちの生活にすっかり溶けこみ、暗号なしでは、もはや生活することはできません。
今、広く利用されているRSA 暗号や楕円曲線暗号などの公開鍵暗号は、現代の暗号技術の基盤であるにもかかわらず、量子時代の到来により、瞬く間に解読されてしまう可能性があります。そのため、安全に使える暗号技術を準備しておくことが、情報通信技術の必須課題となっています。
しかし、暗号技術を議論する上で、安全性だけを気にするわけにはいきません。暗号化し、安全に情報を保持することだけがゴールではなく、暗号化した上で、その情報をいかに有効活用するかが重要です。それにも関わらず、労力をかけて集めた有用なデータでさえ、秘密にしてしまう事例も多く見られます。こうした状況に対して、データを暗号化したままなんらかの有用な計算ができる準同型暗号、秘匿計算などの高機能暗号は、応用技術として広がりつつあります。ビットコインを代表例とするブロックチェーン技術も暗号技術を基礎としたものであり、今後、さらにこの分野の応用・開発が加速していくことでしょう。
本講座では、初日でRSA 暗号・楕円曲線暗号という基礎から暗号理論とその技術に触れ、その安全性議論の基礎となる整数論、素因数分解、代数等の数学理論を学び、実際にプログラムへ実装することにも触れていきます。2 日目は量子計算の基礎概念や、ショアのアルゴリズムによる現代暗号の安全性への影響、次世代暗号としての耐量子計算機暗号(ポスト量子暗号)の理論をまとめ、到来する量子時代に必要な知識を学ぶことができます。3 日目は、暗号技術の様々な応用として、秘密計算、高機能暗号やブロックチェーン技術まで幅広くカバーし、実現アイデアや実社会への応用について触れます。
量子計算機時代の暗号技術の課題・最新動向に触れたい、基礎理論を学びなおしたいという研究者・技術者の皆様のご受講をお待ちしております。
國廣 昇 (筑波大学 システム情報系 教授)
主催
地方独立行政法人 神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)
後援・協賛(一部申請中)
( 一社)CIEC(コンピュータ利用教育学会)、 ( 一社)情報システム学会、( 一社)情報科学技術協会、( 一社)情報処理学会、
( 一社)人工知能学会、( 一社)電気学会、( 一社)電子情報通信学会、( 特非)日本ネットワークセキュリティ協会、
( 一社)日本暗号資産ビジネス協会、( 一社)日本応用数理学会、( 一社)日本危機管理学会、( 一社)日本機械学会、
( 一社)日本計算工学会、( 一社)日本数学会、( 公社)計測自動制御学会、コンピュテーション研究会 、川崎商工会議所、株式会社ケイエスピー
人材育成部 教育研修課 教育研修グループ
TEL:044-819-2033
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