中間水コンセプトによるバイオ・医療材料開発
―水・生体環境下で優れた機能を発揮させるための材料・表面・デバイス設計―
本講座は終了いたしました。次回開催日決定のお知らせをご希望の方は以下申込フォームにてご登録をお願いいたします。
※中間水コンセプト:中間水(材料表面に緩やかに結合した水分子)に着目することで材料の特性を理解し、さらに優れた材料の創出を目指す基本指針
会場
かながわサイエンスパーク内講義室(川崎市高津区坂戸3-2-1)
Map・アクセス詳細はこちら
- JR南武線「武蔵溝ノ口」・東急田園都市線「溝の口」下車 シャトルバス 5 分
- JR 新横浜駅より東急バス(有料)直行「溝の口駅」行き30 分 「高津中学校入口」下車徒歩3分 東急バスのアクセスはこちら
対象
企業、研究機関に所属し、以下の技術や事業の開発に携わる方。
・医療機器、医薬品、食品、化粧品
・診断、治療、予防、病後の管理を行うデバイス
・防汚染表面の開発
・バイオデバイス、チップ
・バイオが関わるエレクトロ二クス、フォトニクス、ロボティクス、環境・エネルギー関連製品
・バイオ界面の現象を理解するための先端計測技術
・有機合成、高分子精密合成技術、有機、高分子材料の開発
・細胞やタンパク質が関係する表面
・細胞培養容器、再生医療用の足場材料
・リキッドバイオプシー関連製品
・機能材料の設計やスクリーニング技術
受講料(税込)
全日程 | A 一般 | 45,000円 |
B KISTECパートナー団体会員 | 36,000円 | |
1日選択受講 | 26,000円 |
カリキュラム編成・講師
田中 賢 氏
九州大学先導物質化学研究所・教授・博士(理学)
●担当講義:
「生体親和性材料・表面の新展開−中間水コンセプトによる機能材料設計」
- カリキュラム編成者からのメッセージ
世の中に存在する製品は、人工材料と生体成分(水、タンパク質)が接触する環境で使用されます。つまり、溶質(人工材料・生体材料)と溶媒(水)が共存しています。実際の製品使用時は、乾燥状態からウエットの状態に変化します。しかし、通常、研究開発は、乾燥状態の溶質のみに着目されています。
本講座では、溶媒である水の役割にも目を向けた材料・表面・デバイスの先端計測と開発の必要性を学びます。医療分野にかかわらず、水環境下で使用される材料やデバイスの開発に関わる幅広い分野の研究開発者に広く知っていただきたい考え方を講義いたします。企業の視点で材料開発プロセスに活かせるヒントを提供します。
講師
林 智広 氏
東京科学大学 物質理工学院 材料系 准教授・Ph.D
●担当講義:
「表面・界面科学および情報科学の手法を用いたバイオ界面の先端計測・解析」
森田 成昭 氏
大阪電気通信大学 工学部 教授・博士(学術)
●担当講義:
「赤外分光法によるバイオ界面の先端計測・解析」
本コースのねらい
ヘルスケア・バイオ・医療分野は我が国の成長戦略にも位置付けられ、国際競争力のある製品開発への取り組みが期待されています。高齢社会において健康長寿実現のためにニーズの大きい材料・デバイスには、生体安全性および生体親和性が必要です。また、より価値の高い製品の開発のために、多様な機能を有する材料・デバイスが市場から求められています。
本講座では、各種医療デバイスの表面処理材として製品化に成功した材料を事例に、生体親和性発現機構や開発の技術課題、予防、診断、治療、病後の管理を支える生体親和性高分子表面・界面の設計と優れた材料のスクリーニング方法について解説します。
特に、製品の実使用環境には、水が存在する事実に着目します。水が存在する環境・生体環境下で機能する材料・表面・デバイス・製品を開発するためには、目的の性能に応じて製品表面へのタンパク質の吸着・脱離および細胞の接着・非接着を制御する必要があります。本講座では、最先端のバイオ界面の先端計測技術により明らかになった材料と生体成分の相互作用機構を、細胞レベル・分子レベルで解説します。これにより、次世代の製品化に必要となる材料・表面・デバイス設計の指針を講義・議論します。
カリキュラム日程および講義内容
時間(講師) | 内容 |
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10:00-10:10 (田中賢氏) | 開会あいさつ |
10:10-11:30 (田中賢氏) | 生体親和性材料・表面の新展開−中間水コンセプトによる機能材料設計①− 医療製品用の合成高分子材料 ・親水性高分子 ・相分離型高分子 ・双性イオン型高分子 ・表面微細加工化高分子 ・製品化されている高分子の特長と課題 タンパク質吸着/脱離の評価 ・タンパク質の吸着量 ・吸着タンパク質の組成と構造 ・タンパク質の吸着と脱離の速度論解析 |
12:40-14:00 (田中賢氏) | 生体親和性材料・表面の新展開−中間水コンセプトによる機能材料設計②− 細胞接着/非接着の評価 ・細胞(正常組織細胞、血球細胞、癌細胞、幹細胞)の接着と生体親和性 ・細胞接着の機構と細胞接着選択性 ・細胞-材料間相互作用の解析と制御 高分子表面物性の評価 ・高分子材料のバルク物性(機械的、物理化学的) ・高分子材料の表面物性(最表面計測の重要性) ・水環境下および生理環境下におけるバイオ界面 (構造と運動性) ・乾燥、水和表面の分析手法(原理、分解能、サンプル調整方法、データ解析方法) ・水和した材料表面の解析手法の選択方法 |
14:15-15:35 (田中賢氏) | 生体親和性材料・表面の新展開−中間水コンセプトによる機能材料設計③− 高分子バイオマテリアルの設計 ・高分子バイオマテリアルの分子設計の最新動向 ・生体分子、生体高分子と生体親和性合成高分子の共通点と相違点 ・生体親和性と生分解性を併せ持つ高分子の設計 ・低分子、高分子、有機、無機、イオン液体、イオンと水の相互作用 ・優れた機能材料の簡便なスクリーニング方法 ・次世代医療・ヘルスケア・非医療分野への展望 新製品開発へ向けた市場の可能性と創出のポイント ・医療分野で必要とされる材料のアンメットニーズと環境・エネルギー・電子・光材料開発分野との融合 ・再生医療の実現へ向けた新コンセプトの提案 ・中間水コンセプトの各種産業分野への応用と社会実装 |
15:50-17:10 (林智広氏) | 表面・界面科学および情報科学の手法を用いたバイオ界面の先端計測・解析① ・バイオ界面構築のための表面コーティング ・様々な界面分析手法 ・タンパク質吸着・細胞接着を決定する界面相互作用 ・付着性表面・抗付着性表面が引き起こす界面相互作用 ・界面における水分子の振るまいと抗付着性の関係 ・分子夾雑状態におけるバイオ界面・界面における微生物の振る舞いの解析 |
時間(講師) | 内容 |
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10:00-10:10 (田中賢氏) | あいさつ |
10:10-11:30 (林智広氏) | 表面・界面科学および情報科学の手法を用いたバイオ界面の先端計測・解析② ・細胞接着を促進するための表面改質 ・原子間力顕微鏡を用いた細胞接着サイトの可視化 ・情報科学を用いた単分子膜表面へのタンパク質吸着量の予測 ・情報科学を用いた高分子薄膜の設計 ・機械学習を用いた生体分子表面の構造ルールの抽出 |
12:40-14:00 (森田成昭氏) | 赤外分光法によるバイオ界面の先端計測・解析① ・赤外分光によって得られる情報 ・FT-IRの活用方法 ・水系試料の赤外分光 ・材料表面へのタンパク質吸着の赤外分光分析 ・材料内部への低分子収着の赤外分光分析 |
14:15-15:35 (森田成昭氏) | 赤外分光法によるバイオ界面の先端計測・解析② ・Pythonを用いたデータ解析 ・分光スペクトルデータのケモメトリックス・機械学習 ・量子化学計算による赤外スペクトルのシミュレーション ・時間依存赤外スペクトルの解析 ・温度依存赤外スペクトルの解析 |
15:50-16:30 (講師全員) | 総合討議・質疑応答 |
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人材育成部 教育研修課 教育研修グループ
TEL:044-819-2033
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